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【アスリートレポート】野口啓代選手
ワールドカップ 第6戦 アメリカ・ヴェイル


カナダ大会の優勝から1週間、まだあの時の興奮は冷めやまず、私の中は大きな安心感と期待で満ち溢れていました。

自分には出来るんだという大きな自信からか、大会を迎える間の4日間は登る時間よりも、「またあの時の、あんな登りが出来たら、絶対にもっとすごいパフォーマンスが出来ると」知っていたから回復と気持ちの整理に費やしました。

予選、準決勝共に全く焦ることなく通過。準決勝では、ただ1人全課題を完登することが出来、さらに自信を得て1位で決勝へ。

迎えた決勝では、予選、準決勝を上回るものすごい集中力が湧いてきました。1課題目で1度フォールしたものの、それ以降一度も落ちることなく全ての課題を完登。全4課題あるうち、3課題目の時点で既に自分が優勝したことに気がついていました。そして、そのまま最終課題も1撃し、最高の形で優勝することが出来ました。

優勝したことに全く驚きはしなかったが、それ以上に自分自身のパフォーマンスに驚きました。
「これがいわゆるゾーンというやつなのだろうか。」と思うくらいに目の前のホールドしか見えなくなり、何も考えずただ上を目指す、まるで覚醒しているかのような時間でした。
このVail大会は間違いなく、自分のコンペティション人生の中でも最も素晴らしく、強い日でした。自分自身を褒めてあげたいくらい、最高の大会でした。

今年で7年目の開催となるアメリカ・Vail大会。出始めた頃は今よりもっと力がなくて未熟で、1番苦手な大会でした。年間を通してこの大会だけ決勝に行けないシーズンが何年か続き、この場所では泣いていた記憶の方が強い。
自分の1番苦手なアメリカで、まさか優勝する日が来るとは夢にも思わなかったし、自分自身の成長を肌で感じています。クライミングを続けてきて、何よりも幸せな瞬間です。

そして、全く関係ないと思っていた2014年の年間ランキングがこの2連勝で大きく変化し、1位の選手と僅か11ポイント差で2位になりました。

残り2戦の結果次第で、年間チャンピオンの可能性が有力となってきました。まだまだ、わたしのワールドカップはこれからが勝負のようです!

来週末の中国戦、そして再来週末には最終戦がフランス。あと3週間で、今年のワールドカップボルダリングシーズンの全てが決まります。

早くまたワールドカップの舞台で、あの興奮と覚醒状態でクライミングをしたいです。

ただその結果がよくても悪くても、今年は最高の年であったと思えるような最高のクライミングがしたいと思っているます。

野口啓代


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