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【アスリートレポート】片山梨絵選手
2012 UCI MOUNTAIN BIKE WORLD CHAMPIONSHIPS

レース名 2012 UCI MOUNTAIN BIKE WORLD CHAMPIONSHIPS
場所 オーストリア SAALFELDEN LEOGANG
日時 2012年9月8日 11:00〜
結果
36位
1. BRESSET Julie(フランス) 1:32:25
2. DAHLE FLESJAA Gunn-Rita(ノルウェー) +1:47
3. GOULD Georgia(アメリカ) +3:12
36. 片山梨絵(日本) -1rap

ロンドン五輪から3週間後、世界選手権のあるオーストリアへと向かった。初めて世界選手権に出場したのは2004年のフランス大会。初めての国際大会で選手のレベルの高さとコースの難易度にただただ圧倒された遠征だった。それから毎年挑戦し続け、今回は9回目の世界選手権日本代表となった。今年のジャパンチームは監督に自転車競技先進国フランス在住のVictorを起用し、選手構成は若手選手中心の少数精鋭。今後の強化を意識したよい動きだと思った。実際遠征中のチームの雰囲気はとてもよく、若手選手は食事やコース攻略、トレーニング方法など多くのことを学べる1週間になったと思う。私はそんな若手のエネルギーをもらいながら気持ちよくレースに集中していった。

XCOレースの2日目の夕方、チームリレーが行われた。各国4人の選手(エリート男子、U23男子、Jr男子、女子)がXCOで使うコースを1周ずつリレーする国別対抗レース。日本はスタートの位置取りなど経験の多い山本幸平が1stライダーとなった。10位と健闘して2ndライダーの中原義貴へ。トップからのビハインドを最小限に抑える力走の16位で私が第3走者だ。前との位置が近かったおかげで4か国パスしてアンカーの前田公平へつなぐ。もっとタイム差を稼いでつなぎたかったけど、午前中に降った雨でコースがかなりスリッピーになりDHセクションで苦戦してしまった。公平も踏ん張ってくれて15位でフィニッシュ。年代別、男女まんべんなく強化している国が良い結果を残すチームリレー。まずはこのリレーでトップ10に入れるように日本のチームもみんなで知恵を出し合って強くなっていきたい。毎年世界選手権だけで走るチームリレーだが、普段とは異なる団体競技ということでチームの結束が強まるし、XCO本番の前に全力でコースを走ることで自分の課題をじっくりイメージしてコースの流れを作り直すことができる。翌日の試走ではリレーでうまくいかなかったセクションをおさらいして、XCO当日に備えた。

レース2日前の雨で路面がかなりテクニカルになった今回のコース。女子エリートのレース当日までにだんだん回復傾向にはあったけど、雨の中ほかのクラスのレースや試走をした結果根っこが掘れてテクニカルなことに変わりはなかった。オリンピックから世界選手権前の野辺山合宿ではスタート後にパワー負けしないことをイメージしてトレーニングを行ってきた。W-UP時には脚の調子が良いように感じたので落ち着いてスタートラインについた。号砲とともに走り出す。周りの様子を見ながら走っていき、「いまだ」という瞬間に練習で強化したパワーをイメージして順位を上げていった。今シーズンスタートが決まったことがほぼなかったけど、今回はうまくいった!この後いつものように後半追い上げていけばベストリザルトが望めるかもしれないと気合を入れた。が、スタートループで混雑を避けるためB-lineを下ったら何故かA-lineから混乱した選手が逆走して突っ込んできた!1周目に入り気を取り直してトラブルで抜かされた選手を抜き返す。いい集中だった。コース中盤にある滑りやすい下りでハンドリングのタイミングが合わない。ペースを乱されるがまた登りで抜き返して前を追う。しかし3周目に入った頃から登りでもパワーを感じなくなってきて、4周目にはどれだけ我慢しても、工夫しても、失速している自分を感じた。先月のオリンピックのようないいレースをすると、そのあとの疲労の抜けが年々遅くなっているのがここ最近の悩みだ。最後まで、どんな状況でも最後まで。。。そう念じながら走っていると、コース上に男の人の足が。「邪魔だ〜」と思いながら前に進もうとした、ら。なんと80%カットのラップアウトだった。先頭からの遅れが規定以上の時間になったので、最後の周回に入れなかったのだ。こんなことは久しぶりで最初は何が起こったのか分からなかったけど、私のレースがそこで終わった。そのあとゴールラインへ移動してさっきまで一緒に走っていた選手たちのゴールシーンを最後まで見ていた。これだけの観客に囲まれて、この境最高峰の舞台で走っていたのか。それはとても幸せなことだと思う。自分が走っているときは必死すぎて充分に感じることのできなかった光景だ。そして目標のトップ20の選手がゴールした時はとても複雑な気分だった。世界選手権のベストリザルトは2010年の24位。この年はパンクしてホイール交換していて、それがなければトップ20に入れる走りができた。のに、結果につながらなかった。それがレースだ。このへんで走れていたという誇りと、もっと強くなりたかったなぁというちょっと切ない感じ。でも胸を張って「やれるだけやった」と言える、充実していた!という気持ち。今回のラップアウトは「まさか」だったけど、このゴールシーンを生で見られて、肌で感じられて本当に良かった。ここまで走ってくる間ずっとの応援とサポート、本当にありがとうございました。

レース翌日はXCO会場とは少し離れた街中で行われるクロスカントリーエリミネーターに出場した。観客にもっとXCレースを楽しんでもらうことを意識して最近できたレースで、クロスカントリーレースにエントリーしている選手が出場できる。世界選手権でチャンピオンを決めるのは今年が初めて。何事も経験ということで出場してみることにした。コースは1周200mほど。街中のレストランの前をスタートして50mぐらい緩やかに登る。猛ダッシュできる斜度と距離なので迫力があって観客が多いポイントだ。その後はコーナーと5段程度の階段下りを小刻みにつなぎ、スピードに乗ったところで20段ほどある階段を一気に駆け降りる。最初の数段は飛び越えて階段の途中に着地しタタタッと駆け降りる形になるので走っていて気持ちが良いし観客も多く、一番好きなセクションだった。石畳の滑りやすい左コーナーをぬけると後は途中にジャンプ台が一か所ある平たん直線の鬼漕ぎでゴール。この100%舗装路の街中コースを2周で競われる。男女別に年齢カテゴリーなく競われるルールで、最初は30秒ごとに一人ずつ走るタイムトライアル。上位32名がクオリファイされるところ、残念ながら私は35位に終わってしまった。その後は私も露店の生ビールをいただきながら会場を盛り上げる。クオリファイされた選手は4名同時出走で2名ずつ勝ち上がるトーナメント方式。迫力ある駆け引きと観客の盛り上がりで選手も観客もとても楽しめるレースだった。アドレナリンたっぷりのショートレースで選手の集中した目を間近で見られるのはとても刺激的でやっぱりレースは最高でした!

片山梨絵


バイク:SPECIALIZED Fate Expert Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS FAST TRACK (1.5Bar)
ヘルメット:SPECIALIZED S-Works Prevail
アイウエア:OGK Kabuto SMART
ウエア:GOLDWIN
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー2 レッド1(膝、足首)
ニュートリション:パワージェル、GOLD'S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE 
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船 
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)

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