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レポート

【アスリートレポート】池田祐樹選手
SDA in 王滝 120km

レース SDA in 王滝 120km 開催日時 2015年9月20日
結果 優勝 タイム 5時間48分21秒
獲得標高 約3167メートル レース中平均標高 1355メートル(最高地点1603メートル)
最低気温 7℃ 最高気温 25℃
場所 長野県王滝村 大会Webサイト http://www.powersports.co.jp/sda/15_otaki_bike_9/

国内最大にして最長のMTBレース「SDAin王滝」120km。事実上、国内の長距離レーサー日本一を決めるレース。
3年前に優勝して以来、不運が続きタイトルを獲れない悔しい年が続いた。しかし、運も実力の内。「勝ち」の難しさを教えてくれるレースでもあった。
アメリカの3日間ステージレース「ブレックエピック」、モンゴルの7日間ステージレース、韓国のグミMTBチャレンジ、京都ゆぶね4時間エンデューロ、5週連続のレース参戦の最終レースとして臨んだ。
コンディションキープが非常に難しく、モンゴルでこじらせた風邪を先週まで引きずってしまい、王滝への特別なトレー二ングはできなかった。
しかし、アメリカはコロラド州で行った厳しい高地トレーニングの貯蓄がまだあると信じていた。レース当日は健康体に戻り、精神的にも不安は無く、良い興奮感で満ちていた。
レースマシーンも長期遠征・連戦で疲弊しきっていたが、メカニックサポートの自転車コーキ屋さんで妥協ない整備を行った。準備は万端だ。



レース前日は、午前中に1時間ほど乗車して足に最後の刺激を入れた。(10秒プリント3本、10分のテンポ走)午後は会場でたくさんの人たちと明日への意気込みを語り合い、熱いエネルギーが注入された。
レース当日、3時45分起床。朝食はたっぷりのミューズリー&コーンフレークにライスミルク、バナナ、梅干しで120キロを戦う炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル(電解質)をしっかりと摂取。


スタート時の天候は曇り、気温は一桁で肌寒いが、レース前の興奮でそこまで寒さは感じない。
本スタート前の先導車ありのパレード走行区間。
今年は安全性を考慮し、先導車スピードは緩めだったので、足を温めながら、ライバル達と談笑を楽しみ、本スタートを待った。
舗装路からオフロードに入るとスピードも上がり始め、会話が少なくなり、レースの独特の緊張感が張りつめる。いよいよだ。


先導車が横に消え、真のレースが始まった。
念頭には、
「スタートからフィニッシュまで先頭は譲らずゴールする。」
という意識があった。
韓国の大学チャンピオンのGOONAMWOO選手、宮津選手、山田選手の4人で早くも先頭集団が形成され、かなりのハイペース約12キロの最初の登りを終える。
皆とても強い。リスペクトしつつも負けられない。もうこの王滝で悔しい思いはしたくない。
私にアドバンテージのある下りで徐々に集団から抜け出す。今回はフルサスペンションバイク(Canyon LUXCF29)で、タイヤはパンク対策を考慮してコンチネンタルXキング・プロテクションをチョイス。ガレたダウンヒルセクションもパンクの不安も無く、攻めの姿勢で下ることができた。


独走態勢になり、あとは自分との勝負だ!っと思った矢先にバイクに異変が。
スピードを緩めて様子を見るが、降りて直す必要があると判断。
第一チェックポイント手前でストップして修復作業を開始。
直す作業自体は簡単なはずなのだが、レース中ということもあり正直すごく焦っていた。
「また今回も運が無く、優勝を逃すのか?」不安が頭をよぎる。
「くそ!くそ!」と己に文句を言いながら冷静になれていない自分がいた。

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©安達琢也
直している間に宮津選手とGOONAMWOO選手に抜かれ、3位に落ちる。
震える手で作業を終え、直っていることを最終確認して再びスタート。
第一チェックポイント手前でGOONAMWOO選手を捉えて、2位に浮上。まだ宮津選手の背中は見えない。焦る気持ちを落ち着かせるために何度も深呼吸をする。
「自分の走りをすれば自ずと結果はついてくる。」そう信じた。
ダムの手前、45キロあたりだろうか宮津選手に追いつき、そのままの勢いでパス。
ここからはトップで一人旅。
しかし、トップという意識は自分の中にはなかった。むしろ、トップとは考えないようにした。
世界レベルを肌で感じた遠征を思い出すとまだまだ力不足な自分。
もし今が世界選手権だとしたら、前には山ほど強いライダー達がいるはずだ。
守りの走りではなく、前を見る走りを意識した。
今回のコースは大雨が続いた影響か、ところどころ水が溜まり路面が重く、ガレたセクションが多い印象。
その影響もあり、走りのイメージは悪くないが、昨年のタイムと比較して伸びがないのがもどかしい。
第2チェックポイント。トップで通過。


辛い場面でもあったが声援に元気づけられる。レーサーにとって応援はドリンクや補給食以上のエネルギー源だ。ありがとう。
第3チェックポイントもトップで通過し、4時間30分過ぎで最後の20キロループへ突入。

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©安達琢也
ここの長い登りが正念場。
頂上まで40分を切って登りたいと思っていたが、登り口からまさかの足が攣り始める。最初は内腿、そして前腿、脹脛、、、ほぼ足全体が固くなっていく。
ここ2週間くらいは体調の回復に努めていたせいで筋耐性が弱くなっていたかもしれない。
激痛を伴うが歯を食いしばり我慢してペダルに力を込めて攣った足を回し続ける。
林道に新しい砂利が入ったのか、路面が緩く、タイヤが空転しやすい。足の攣り、きつい斜度、動く砂利で心身共に非常に辛い苦痛の時間が続いた。
体感ではかなりスピードダウンしたので、後ろからの追い上げも不安になり、守りの走りとなってしまった。
まだまだ弱い。。。
それでも追い込みきって登頂し、最後のダウンヒルへ。
フィニッシュゲートをくぐるまでまで何があるかわからない。油断は禁物だ。
「安全に下る」=パンクしない、とは限らない。
私の場合は、ギリギリまで攻めて集中力を研ぎ澄ませていた方がパンク率も低い。
極限の集中、トランス状態でいるとタイヤのノブが岩を乗り越える感触まで伝わってくる気がする。
パンクしたら怖い、とか色々気にしていると集中力が下がるので、私はスピードを上げ、五感を高める方法を選択する。
疲労は限界に達しているが、バイクと一体となり、スピードを限界まで上げてスリリングな感覚を思いきり楽しんだ。キレッキレのナイフの歯の様に研ぎ澄まされた集中の世界。最高だ。
途中合流する42キロ、100キロの人たちを抜く時には声を掛け合い、励まし合う。これも王滝ならではの楽しみ。皆各々のゴールに向かって頑張っている。その姿をお互いに見ることで自分の励みにもなるのだ。
ダウンヒルを終え、フィニッシュゲートへと続く平坦区間。再び攣る足にムチを打つように、一番重いギヤへシフトして最後の追い込みをかける。
ゲートが視界に入った時にようやく勝利を確信し、表情が緩んだ。



久しぶりに掴んだ国内での優勝タイトル。
心の底から嬉しい。
本気で応援・サポートして見守ってくれている人に優勝の瞬間を見てもらえたことも最高に嬉しい。
御嶽山噴火後という大変な時期でSDAin王滝開催を続けてくれた王滝村とパワースポーツにも心から感謝。

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©足立 磨砂幸

表彰台のテッペンはやはり最高!この場に戻ってこられたことが純粋に嬉しい!

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©佐藤真吾

しかし、世界を見ればまだまだ未熟者の私。決して満足せず、この王滝での優勝を誇りに世界のトップを目指して「超」戦し続けていきたい。
今回、2位3位に入賞した新しい強い選手の活躍も見逃せない。これから王滝は更に層が厚くなり、スピード化してくだろう。日本の長距離MTBが強くなっていき、世界で活躍できることを切に願う。そして、日本でのMTBマラソン全日本選手権開催を近い将来実現したい。
沢山の応援、サポート本当にありがとうございました!

写真(©表記がない写真) : Sayako Ikeda

【レース中補給食】
パワージェル梅味6 個、スポーツドリンク1.5 リットル(ハイドレーションパック)+750ml ボトル(実際飲んだのは1.8 リットル程度) 。

【レース機材】
バイク:Canyon LUX CF 29 チームエディション
ドライブトレイン:SRAM XX1(32t)
タイヤ:Continental X King 2.2 Protection:前後20PSI
グリップ:Ergon GS1
グローブ:Ergon HX2
ペダル:Crank Brothers Eggbeater 11
サングラス:Limar
ヘルメット:Limar
ボトルケージ:Topeak Shuttle Cage CB
チェーンオイル:Finish line Ceramic Wet Lube
補給食:GU、パワーバージェル&VESPAプロ、Sayako's Kitchen
リカバリー:C3 fit コンプレッションソックス
テーピング:ニューハレ

【パーソナルスポンサー】
NEWHALE:テーピング
自転車コーキ屋
Peaks Coaching Group Japan
VESPA
パワーバー
THE NORTH FACE
C3 フィット
なでしこ健康生活・生きている玄米
ヒロコンフーズ
VITAMIX
HALO HEADBAND:ヘッドバンド
オルタナティブバイシクルズ
民宿藤屋(王滝村)
百草丸日野製薬(株)
スポーツクラブルネサンス

【チームスポンサー】
Ergon
Topeak
Canyon
SRAM XX1
Continental Tires
Primal Wear
Finish Line
Crank Brothers
Chamois Butt'r
Stan's No Tubes

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