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【アスリートレポート】池田祐樹選手
SDA王滝120km

レース SDA王滝120km
開催日時 2014年9月15日
結果 120キロ:3位
キング・オブ・MTB 王滝シリーズ:2位
タイム 5時間45秒56秒
場所 長野県王滝村
コースコンディション 曇り/晴れ
大会Webサイト http://www.powersports.co.jp/sda/14_otaki_bike_9/

国内で最高峰の長距離レース「SDA in 王滝」。昨年、シリーズ優勝はしたものの個々のレースで1位を獲れなかったことが悔やまれた。

その悔しさをぶつけるためにも今大会は、好調で終えた長期海外遠征の流れを崩さず、コンディションを整えてスタートに並んだ。

今回のバイクチョイスはCanyon Grand Canyon CF SLX29 ハードテール。当初予定していたのは今シーズン通して乗っていたフルサスペンションバイク。しかし、北米の激しすぎるコースを連戦したせいかレース数日前に小さなクラックを発見。安全を考慮してバイクの変更を決意。地元の自転車コーキ屋さんがハードテールをレースに間に合わせるように突貫で仕上げてくれた。臨機応変に対応してくれるサポートに心から感謝だ。

会場ではTOPEAK/ERGON ブースに沢山の方が訪れてくれて、声をかけていただき、やる気エネルギーをMAX にチャージ。そしていつものTOPEAK・ERGON ジャパンチームのサポートにも元気をもらう。

朝は3時40分起床。レース朝食の定番はバゲットにハチミツに豆乳。少し多めに食べて120キロ戦い抜くためのエネルギーをチャージ。
会場へは5時入り。

レース前の安全祈願をレーサー代表として。身も心も引き締まる。
朝6時。いよいよスタート。

オフロードセクションへ入るまで先導車ありのニュートラルスタート。
先導車が消え、しばらくすると序盤の登りで小野寺健選手、Adam Cobain 選手が強烈なスピードアップ。オーバーペース気味ではあったがなんとか視界に捉える範囲でついて行く。

きついが北米レースでのスタートペースよりはまだ楽だ。このスピード域ならばまだ許容範囲と経験上判断。

良い走りを魅せていた小野寺選手がパンク。ここで2位に浮上。

徐々にAdam選手の背中も近づいてくる。自分の後ろには恩田選手がぴったりと付いてくる。

久しぶりに乗るハードテールは路面からの衝撃を顕著に感じるので、お尻を浮かしたり抜重のタイミングを掴みながら徐々に身体の使い方を順応させていった。しかしながら登りの多い王滝でのハードテールのこの軽さは強みでもある。

テクニカルな下りで前へ詰める。

しかし、この下りでフレームに付いているボトルが激しく揺れていることに気付く。ボルトが緩んでいるようでいつ落ちてもおかしくない状況だ。激しい下りのため止まることが出来ず、修復しようと考えていた登り返しすぐのところでケージごとフレームから落ちてしまった。急いでボトル、ケージ、ボルトを拾って落ち着いて作業。この間に恩田選手にパスされ、後続も見える範囲に迫ってきた。

パンクやチェーントラブルに比べれば些細な問題、と言い聞かせて焦らずに再スタート。

後続を再び引き離して淡々と一人旅のマイペースでレースを進める。

スピードに乗りきれない違和感と共に腰と内腿が少しずつ攣り始めてしまう。今シーズン初めての経験だ。まだレース半分も来ていないこの場面で、しかもまだ追い込んでもいない。「なぜだ?」

さらに、フロント周りにガタがあるのに気づく。スルーアクスルを締め直すが改善されない。おそらくヘッドの緩みと予想するが直す時間も惜しいのでそのまま走り続けた。荒れた路面は身体だけでなく、機材にも予想以上のダメージを与えているのだろうか。

しかし、今理由を考えても仕方がない。攣っても痛くてもただただ踏むしかない。今はその選択肢しかない。

気が付くと、山中選手が追いついてきた。

彼の勢いのあるペースに一瞬遅れそうになるが、抜かれてはかぶせ、かぶせては抜かしてを繰り返し、一進一退の攻防。

死ぬほど辛いが意地のぶつかり合いの真剣勝負をどこかで楽しんでいる自分がいる。

20キロループ突入前に再び足が攣り始めて後れをとってしまう。なぜ攣るんだ?!自分への怒りが抑えきれない。もっとこの真剣勝負を楽しみたいのに!

最後の長い登りに入り、攣ったダメージの影響か、踏んでいるのにさらにスピードが失速。ここでパンクから復活した小野寺選手に追い抜かれてしまう。何があろうとこれ以上順位を落とすわけにはいかない。

何よりまだ勝利へのチャンスも諦めてはいない。この時点では限りなくゼロに近い勝機だったのかもしれないがフィニッシュゲートをくぐるまではこの気持ちを持ち続けていたい。どんなレースでも。どんな状況であろうとも。

視界から小野寺選手が消えないように精神力のみで追い込んだ。堪えに堪え、頂上に近づいたところで再び追い抜き、最後の下りと登り返しも諦めずに前を追った。

結果3位でフィニッシュゲートをくぐった。

終始安定した強さで優勝した恩田選手を心から賞賛したい。そして、2位の山中選手、4位の小野寺選手も本当に強かった。

今回のタイムは5時間45秒56秒。昨年よりは15分近くタイム短縮はしているが、目標タイムには届かなかった。達成できるだけの準備をしてきた自信はあった。しかし、結果優勝も逃してしまい、とても悔しい結果に終わってしまった。

長距離レース経験を積んできてはいるが、未だに予期せぬ事態がレース中に起こる。レース当日に自分のパフォーマンスを発揮することの難しさを改めて思い知らされた。

パーフェクトなレースはない。しかし、考え得るマイナス要素を1%でもレースまでに削っていく努力をしたい。していかなければならない。
こんなにも悔しい思いを繰り返さないためにも。
そして、自分を超える「超戦」のためにも。

次のビッグレースは10月オーストラリアで開催されるUCI クラス1 ステージレース「クロコダイルトロフィー」。9日間の激闘に向けて気持ちを切り替え、今回の素晴らしい経験を活かし、100%で戦います!

沢山のサポート、応援ありがとうございました。

写真:Sayako


▼120キロ表彰。3位。
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▼キング・オブ・MTB 王滝シリーズ2014表彰。準優勝。
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【レース機材】
バイク: Canyon Grand Canyon CF SLX 29
ドライブトレイン:SRAM XX1
フォーク: MAGURA TS8 29
ブレーキ: MAGURA MT8
ステム/シートポスト/ハンドルバー: RITCHEY Super logic/TRAIL/WCS Carbon
ホイール: DT Swiss 29 Spline XRC1250 with Stan's tubelesskit
タイヤ: Cont inental X King 2.2 Protection
グリップ: Ergon GS1
グローブ: Ergon HX2
サイクルコンピューター:ジュールGPS(サイクルコンピューター)
シューズ: North Wave Extreme Tech Plus
ペダル: Crank Brothers Eggbeater 11
サングラス: Limar
ヘルメット: Limar
ボトルケージ: Topeak Shuttle Cage CB
チェーンオイル:Finishline Ceramic Wet Lube
補給食:GU(ドリンク) 、パワーバージェル&VESPA プロ
リカバリー:C3fit コンプレッションソックス
テーピング:ニューハレ

【パーソナルスポンサー】
自転車コーキ屋
スポーツクラブ ルネサンス
パワーバー
CycleOps:パワータップ、ジュールGPS(サイクルコンピューター)
C3 フィット:コンプレッション
VESPA
NEW HALE: テーピング
HALO HEADBAND:ヘッドバンド
Fuj imoto Farm 弥之助蓮根
なでしこ健康生活・生きている玄米
ヒロコンフーズ

【チームスポンサー】
Ergon/Topeak/Canyon/SRAM XX1/Magura/RitcheyBicycleComponents/ContinentalTires/DT Swiss/Primal Wear/Finish Line/Northwave Shoes/Jagwire/Crank Brother/Chamois Butt'r/Stan's No Tubes/EPIC Action Cam

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